任意後見人の職務は、本人の「財産管理」と「身上看護」に関することが基本です。即ち、本人の財産をきちんと管理するとともに、介護や生活面のバックアップをすることと言えます。
但し、委任される仕事は「代理権」を与えられる法律行為に限られるので、直接介護するような、代理権とは関係のない行為は含まれません。
任意後見受任者、つまり将来の任意後見人の仕事は、任意後見契約によって決まります。契約内容は自由ですが、本来の制度の趣旨から言うと、次のようなものが考えられます。
財産管理では、「預貯金の管理」「収入・支出の管理」「税務処理」の後見事務を行います。
具体的には、不動産や重要な動産などの財産管理・保存・処分、銀行や保険会社などの金融機関との取引、土地や貸家の賃料収入の管理などが含まれます。
身上監護では、「医療に関する契約」「介護等に関する契約」「住まいに関する契約」「施設に関する契約とその履行」「教育・リハビリに関する契約」の後見事務を行います。
具体的には、福祉サービス利用に関する諸手続、本人の住居の購入や賃借、家屋の増改築などに関すること、医療サービス契約や入院に関する諸手続きなどが含まれます。