農地について規定する農地法は、農地の耕作者自身が農地を所有することが適当であるとして(自作農主義)、耕作者の農地の取得と権利の保護をはかっています。それと同時に、農業を行うのに効率的に土地を利用できるようにするため、利用関係を調整して耕作者の地位の安定と農業生産力の増進を図ることを目的としています。
そのため、農地を相続したとしても、農地を売却するには知事の許可が必要になります。
但し、遺産分割で農地を取得する場合は、この許可は必要ありません。これは、相続人が複数の場合は、まず相続分に応じた持分を共有した後に遺産分割協議により権利移転が生じることになりますが、これは相続によって包括的に権利が移転したと考えられるからです。
しかし、遺産分割で取得した農地の売買については農地法が適用されるので、相続した農地を売る場合には、農地法の権利の処分に関する許可が必要です。許可が出るまでは農地を勝手に売買できないので、売却には時間がかかるのが通常です。