確実に債権を回収するために、注意すべき段階は4つあります。
以下、それぞれについてご説明します。
取引開始前には、①相手方の確認(法人の場合は登記で確認する、資力があるか確認する、他の取引先を確認する、企業の信用状況を確認する)、②保証の設定(担保の確保、保証人の徴求、債権譲渡の利用等)、③契約条項の確認(違約金の設定、公正証書の作成等)をすることが重要です。
取引に入った段階では、①状況の観察(取引条件の遵守状況、他の取引先との関係等)、②条件の猶予(商品返却の合意、期限の利益喪失約款等)、③時効の確認(飲食・運送賃料1年、売買2年等、個別の時効を確認する、内容証明で6か月延長する等)、④文書で残す(見積書や伝票類の整理等)をこまめに確認し、備えておくことが後々役立ちます。
緊急事態においては、①いざという時の商品の引き上げ、②差押え・仮差押え(判決・公正証書などの債務名義を得ておく、仮差押えの補償金に注意する等)、③詐害行為に注意する(抜け駆けや債権譲渡に注意する)ことが必要です。
裁判等、実際に債権の回収に着手する段階では、①迅速な回収方法の準備(支払い督促手続き、少額訴訟の提起等)、②取締役の責任追及の準備(故意または重過失がある取締役の責任追及を考慮する等)、③効果的な執行方法の準備(不動産競売の申立、売掛債権の差押え等)を考慮しておくことが重要です。